「社長、お時間よろしいでしょうか。」
昼下がりの会議室。資料を抱えた若手社員・高橋悠斗は、緊張した面持ちでドアをノックした。中には、この中小製造業を30年守ってきた社長・坂本がいた。
「AI…ってやつの話かい?うちは機密情報もあるし、クラウドにデータ入れるのはちょっとな…」
話を切り出す前から、坂本社長の眉間にはシワが寄っていた。
「それなんですが、実はイースト株式会社のエンジニアに相談したところ、社内だけでAIを活用できる方法があると聞きまして…」
高橋は、1枚のスライドを差し出した。そこには「Azure OpenAI Serviceによる閉じた環境でのAI利活用」の文字。
「AzureというMicrosoftのクラウド環境内に、当社専用のAIを設置できるんです。データは外に出ません。RAGという仕組みを使えば、AIが社外秘ファイルを“記憶”したかのように使えます。」
坂本は身を乗り出した。「ほんとに?でもそのAIを使うのに専門知識がいるんじゃ…」
「Power AppsやTeamsと連携できるので、Excel操作ができる人なら扱えます。しかも社内の経費精算や契約確認、議事録作成、見積レビューなどを、AIが代行してくれるようになるんです。」
——数週間後。
高橋の提案は受け入れられた。まずは総務部の10名にAIアシスタントを展開。AIは、過去の契約書データをRAG構成で読み込み、社員の質問にリアルタイムで答えるようになった。
「この取引先との契約って、自動更新になってる?」
「来週の会議の過去議事録出して」
「この仕入れコスト、去年の平均より高くない?」
そんな問いに、AIは即答した。結果、社員は確認作業にかけていた時間を大幅に削減。3名の総務担当者を、生産ライン支援に異動させることができた。
そして月末——。
「高橋くん、本当にありがとう。正直AIってよく分かってなかったけど、現場も助かってる。なんせ手が足りなかったからな。」
社長の目に光るものがあった。
「やっぱり、守りに入ってたら未来はないんだな。よし、次は全社展開してみようか。」
「俺の後継者を誰にすればいいかAIに聞いてみようっと。」
——その瞬間から、社内の空気が変わった。
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