​『書類の海を越えて』(作業代行、自動化)

​『書類の海を越えて』(作業代行、自動化)

『書類の海を越えて』(作業代行、自動化)

東京・恵比寿のオフィスビル。その13階にあるガラス張りの会議室で、田島は沈んだ表情でパソコン画面を見つめていた。

彼は大手人材紹介会社「キャリア・コンパス」の営業企画部で、唯一の庶務担当として膨大な事務作業を一手に担っていた。毎月300件を超える見積書、契約書、請求書の作成と送付。少しでもミスがあれば営業からのクレームが飛んでくる。「手が足りない」と言っても、返ってくるのは「予算がない」のひと言。深夜まで残業する日々に、心も体もすり減っていた。

そんなある日、上司の坂口が一枚の資料を持ってきた。

「田島、これ、見てみて。イースト株式会社ってところのDX支援サービスなんだけど、業務の自動化と作業代行をやってくれるらしい」

「またそういうのですか?高そうだし、うちに合わないですよ」

「いや、1時間4400円(税別)で代行。で、ゆくゆくは自動化の仕組みを引き渡してくれるって。最終的に、社内で自動化できるようになるんだってさ」

田島の指が止まった。代行してくれるだけじゃなくて、「自分たちで動かせる仕組みをくれる」?それはまるで、嵐の海を渡るための地図のように感じられた。

──翌週、イースト株式会社のコンサルタント、アイミーが社内にやってきた。

「まずは、作業を代行しましょう。契約書も請求書も、Teamsに必要情報を投稿していただければ、自動で作成して、クラウドに格納・送付されるようにできますよ」

「えっ、本当に?……そんなことができるんですか」

「できます。そして、それを社内で再現できるよう、ノーコード・ローコードツールを活用して設計してお渡しします。難しい操作は一切不要。ご自身でメンテナンスもできます」

数日後、田島はアイミーの支援を受けながら、Teamsに見積情報を投稿した。瞬間、クラウド上に完璧な見積書が生成され、ファイルサーバーに格納され、相手先に自動で送られた。

魔法だった。

それから3週間。田島の残業はゼロになった。かつて机を埋め尽くしていた書類の山は、静かにクラウドの中へ消えていった。

そして迎えた月次会議。

坂口が全社員の前で発表した。

「営業企画部の庶務工数が、1人月分削減されました。これは、田島さんとイースト社の皆さんのおかげです」

一斉に湧き上がる拍手の中、田島は少しだけ涙をこぼした。嬉しさと、ようやく報われたという安堵の涙だった。

会議後、アイミーがこっそり声をかけてきた。

「田島さん、もう大丈夫そうですね。あとは、この自動化の仕組み、他部署にも展開してみませんか?」

「……私が、ですか?」

「田島さんならできます。あの混乱を乗り越えたんですから」

その日から、田島の役割は「庶務」から「社内DX推進担当」へと変わった。彼女は自らの手で、業務を変える仕組みを社内へ広げていった。次に支援するのは、営業管理、次は経理……。

そして半年後、「キャリア・コンパス」は社内全体の業務効率化プロジェクトを正式にスタート。その中心には、かつて書類に追われていたひとりの男が立っていた。

新たな名刺にはこう書かれていた。

デジタル変革推進担当

田島

今では、毎朝コーヒーを飲みながら、Teamsにぽつりと投稿するだけで、1日分の事務作業が終わる。

彼は時々、あの頃の自分を思い出す。

山のような書類と、心の重さを抱えていた自分。だけど、あの時あきらめなかったから、助けを求めたから、今こうして笑っていられる。

──その笑顔は、オフィスのどんな自動化よりも、まばゆく光っていた。

(記事は事例をもとにしたフィクションです)


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