人手不足は社会全体で課題になっている状況です。その中でも人手不足が深刻化している業界があります。
そこでこの記事では、人手不足が多い業界や業種を5つ紹介します。人手不足の原因や企業が取り組むべき対策についても具体的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
日本の人手不足は、少子高齢化による生産年齢人口の減少により、1995年をピークに労働力の供給源が減り、多くの業界で人手不足が慢性化しています。
現在では労働者1人に対して、65歳の高齢者を2人で支えるほど、少子高齢化が進んでいます。
なお、人口推計では15歳から65歳までにあたる生産年齢人口は、2025年1月7361万2千人おり、前年の同月に比べると、23万3千人減少傾向です。
このように労働者は減り続けており、企業は新たな人材確保に苦慮しています。
参考:総務省「令和6年版 高齢社会白書」
参考:総務省統計局「人口推計(2025年(令和7年)1月確定値、2025年(令和7年)6月概算値)」
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日本にはさまざまな業種がありますが、そのなかでも人手不足が深刻な業界や業種があります。
それぞれの業界がなぜ人手不足に陥っているのか原因を紹介します。自社の業界が人手不足の多い業界なのか、原因は何か確認していきましょう。
建設業が人手不足に陥っている原因は複数あります。
建設業は、従業員の高齢化が進んでいるのに若年層不足が顕著です。一般社団法人日本建設業連合会の建設業の現状によると、2025年の建設業就業者は477万人いますが、そのなかで、60歳以上の就業者は123万人もいます。実に4人に1人が60歳以上の状態です。
建設関連の技術者は高齢化率が全産業平均よりも高く、熟練の技術者が引退する一方で、若年層の入職者が少ないため、技術やノウハウの継承が困難な点も課題といえるでしょう。
また、若年層不足の背景には、労働環境の改善が追いついていない点が挙げられます。「きつい、汚い、危険」という3Kのイメージが依然として強く、長時間労働や過酷な作業環境が敬遠される要因といえるでしょう。
さらに、ベテランの技術や経験が十分に若手に伝えられないことで、工事の品質維持や効率的な作業の妨げとなり、全体の生産性が低下するリスクもあります。
建設需要は堅調なものの、供給が常に追い付いていません。老朽化したインフラの修繕や災害復旧、都市開発など、建設需要自体はなくならない状況ですが、人手不足のため受注を制限せざるを得ないケースも発生しています。
参考:一般社団法人日本建設業連合会「建設業の現状」
AIやクラウドサービスのほか、企業においてもデータを活用したマーケティングが主流になりつつあります。日々進化を遂げるIT業界では、新しい技術領域で専門知識をもつ人材が不足しているため、企業間での人材獲得も激化しています。
またIT技術は、他の業種に比べてトレンドの変化が早いといった点が特徴です。最新の技術を学習し学び続けることがIT業界では必要であり、これが人材育成の難しさにつながっています。
IT人材不足は、2030年になると最大80万人不足すると予測されています。今後業界で生き抜いていくには、専門知識をもち新しい技術にも精通する人材が不可欠です。
参考:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」
超高齢社会の進展に伴い、医療・介護サービスの需要が急増しています。特に、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題などを背景に必要性はますます高まっており、医師や看護師、介護士といった専門職の需要が供給を大きく上回る状況です。
その一方で、医療・福祉現場の労働環境は過酷さが指摘されています。夜勤や長時間労働、緊急対応、精神的な負担の大きさなどが常態化しており、高い離職率につながる一因といえるでしょう。特に介護職においては、低賃金と業務の過酷さが問題視されています。
さらに専門職は資格取得のハードルが高く、継続的な学習も不可欠です。医師、看護師、介護福祉士などの専門資格の取得には、時間と費用がかかります。
このように、身体的・精神的な負担が大きい業務であるにも関わらず、賃金水準が低いと感じる人が多いのが現状です。特に介護職では、業務の重要性や負担の大きさに比べて賃金水準が低いと感じる人が多く、これが人材不足の大きな要因となっています。
運輸業や郵送業においても、eコマース市場の拡大により、配送量が爆発的に増加しています。インターネット通販の急速な普及で宅配便の取扱量が急増し、ドライバーや配達員の数が需要に追いついていません。
その結果、長時間労働と低い賃金水準が常態化しています。長距離輸送や深夜・早朝の配送は労働時間を長くする傾向にあります。また、燃料費の高騰や単価の据え置きもあり、業務内容の割に賃金が低いと感じるドライバーが多いでしょう。
また若年層のトラックドライバー離れも進んでいます。「きつい」「拘束時間が長い」「不規則な生活」といったイメージが強く、若年層の人材確保が難しい状況です。
こうした状況に加え、2024年問題への対応も課題です。働き方改革関連法により、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働の上限が960時間となりました。その結果、ドライバーの環境は向上するものの配送量は増加しているため、さらなる労働力不足が懸念されています。
金融業界では、デジタル化の進展とフィンテックの登場でビジネスモデルが大きく変わっています。銀行や証券会社では店舗を減らしたり人員を削減したりする一方で、データサイエンティスト、AIエンジニア、サイバーセキュリティ専門家といった、新しいデジタル技術を扱える人材が必要です。
この変化に合わせて、専門的な知識や新しいスキルの必要性が高まっています。複雑化する金融商品や厳しくなるルールに対応するには、高度な金融知識やリスク管理、法律順守に関する専門性が欠かせません。さらに、デジタル技術を使った新しいサービスをつくるためには、ITスキルも必要です。
ほかの業界と同様に人手不足がありつつ、新しいスキルをもった人材の育成や獲得が必要な背景もあり、人手不足は深刻な状況といえるでしょう。
日本の人手不足は、少子高齢化による生産年齢人口の減少が最大の要因です。前述したとおり、出生数が減少し、将来の労働力となる若年層が減り続けています。そのため特定の業種に限らず人手不足は社会全体で慢性化しているといえるでしょう。
ただし、人材不足の原因は少子高齢化だけではありません。スキルミスマッチも深刻な問題です。企業が求めるITスキルやグローバル人材が不足する一方で、一般事務などの業種では仕事が見つからないといった状況に陥っています。
また、労働条件や待遇への不満が、離職や採用の難しさにつながっています。長時間労働や低い賃金、休暇の取りづらさ、ハラスメントといった劣悪な労働環境は、従業員の定着率を下げる原因です。特にワークライフバランスを重視する若者にとって、就職する上で重要な選択基準といえます。
その一方で、企業は従来と同じような人材確保を行っていても、若者は集まりません。社内の環境を整え働きやすい職場をつくることが必要です。
人手不足が企業に与える影響は複数あります。
人手不足が深刻化すると、業務量を抑える必要がでてくるため、売上や利益の減少が懸念されます。1人あたりの業務量も増えることで、顧客対応の遅れやサービス品質の低下にもつながるでしょう。品質の低下を改善できなければ顧客満足度も下がり、企業の信頼性やブランドイメージが損なわれる恐れがあります。
企業だけでなく、従業員にも大きな影響を与えます。人手不足を補うため、残された従業員は業務負担が増大し、長時間労働になる可能性もあるでしょう。その結果、従業員のモチベーションやエンゲージメントが低下し、健康問題や優秀な人材の離職につながります。
また日々の業務に追われることで、従業員はスキルアップに時間を割くことが難しくなります。キャリアアップするための成長機会を失えば、社内での属人化も進み企業が培ってきた強みが失われていく一因になるでしょう。
人材不足に陥っている企業や、今後人材不足になる可能性がある企業は、どのように対策を進めていけばよいのでしょうか。複数の方法がありますが、その中でも以下3つの軸で対策を整えていきましょう。
人材を確保するためには、多角的なアプローチが必要です。
まず、採用戦略を抜本的に見直し、強化しましょう。
どのようなスキルや経験を持つ人材が不足しているのかを明確にし、そのターゲット層に響くような企業の魅力を効果的に伝え、良い企業イメージを築きます。従来の求人サイトだけでなく、SNS採用やリファラル採用、ダイレクトリクルーティングなど、複数の採用方法を組み合わせれば、必要な人材が見つかりやすいでしょう。
また、オンライン面接やAI活用などで採用プロセスを効率化し、応募者がストレスなく選考を受けられる環境を整えることも大切です。
そのほか学生や求職者には、インターンシップや会社説明会を積極的に実施し、企業や業界への理解を深めてもらいます。未経験者や異業種からの転職者には、リスキリング(学び直し)やアップスキリング(スキル向上)を支援する制度を導入し、キャリアチェンジを後押しすることで新たな人材層を獲得しやすくなるでしょう。
なお、正社員雇用が直近で難しい場合は、人材紹介サービスや派遣サービスを効果的に活用することも有効です。専門的な知識やスキルをもった人材を、取り入れることができます。
せっかく入った従業員が、職場環境に満足せず定着しなければ人手不足が続きます。そのためにも、職場環境の改善を実施していきましょう。
職場環境の改善方法は複数ありますが、以下5つを押さえておくことが大切です。
ワークライフバランスを保つためにも、労働時間の適正化は欠かせません。ノー残業デーを設けたり有給休暇の取得促進を実施したりしましょう。リモートワークやフレックスタイム制などの導入をすると、従業員の働き方の自由度を高められ、エンゲージメント向上や遠隔地からの人材確保にもつなげられます。ただし、対面の良さもあります。リアル出社をしつつ、リモートワークやフレックスタイム制などで、働き方に適正と柔軟性との両立を図ることが重要です。
仕事と育児の両立ができるよう、制度を拡充することも必要です。特に女性社員や共働き世代の定着率向上につながるでしょう。そのほか、定期健康診断などの健康面や住宅手当や通勤手当などの生活支援もおすすめです。
また制度だけでなく、風通しの良い社風を構築することも必要です。定期的な1on1ミーティングやメンター制度を導入し、従業員の悩みや課題を早期に把握し解決に向けたサポートを行います。休憩室などにコーヒーメーカーなどを設置し、業務の合間にリラックスできる空間をつくるのもよいでしょう。従業員同士のコミュニケーションの場になります。
さらに、評価制度の透明化を図ります。従業員一人ひとりの努力や成果が適切に評価され、報酬に反映されるようになれば、モチベーションの維持・向上につながるでしょう。
若手人材を対象にした対策も重要です。
まず、キャリアアップ支援を強化しましょう。研修制度やOJTを充実させ、若手社員のスキルレベルに応じた学習機会を設け継続的なスキルアップを図ります。資格取得支援やジョブローテーションも積極的に活用し、幅広い知識習得を提供することも大切です。
ワークライフバランスを重要視する若者には、前述したとおり、適正と柔軟性との両立を図る働き方を提供するのが重要です。副業・兼業容認制度を導入して成功しているIT会社もあります。
社内の若年層の人材だけでなく、人材確保のためにも企業イメージを向上させ、魅力を効果的に発信しましょう。ウェブサイトやSNSで若手社員の活躍事例や仕事のやりがいを積極的に発信すると、求職者の共感を呼びます。
大学や専門学校との連携を強化し、インターンシップなどを通じて学生との接点を増やして、早期からの企業認知度向上と理解促進を図りましょう。
少子高齢化により人手不足は蔓延化していますが、その中でも建設業や情報サービス業、医療・福祉・運輸業・金融業は深刻な影響がでています。売上・利益の減少や既存従業員の負担増大、離職率上昇など、企業に多くの悪影響をもたらすため早急に対策を講じる必要があるでしょう。
採用方法の見直しや職場環境の改善、柔軟な働き方の推進などを行いつつ、外部へアプローチを続けることが大切です。
人手不足は、すぐに解決できる問題ではありません。そのため今から社内での意識を変え、現状を把握し風通しのよい社風を外部へアプローチし、人材の獲得を促進していくようにしましょう。
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