BPOとは、外部の企業に業務プロセス全体を委託することです。近年注目を浴びているBPOですが、アウトソーシングとの違いや、どのような業務を委託できるのかわからない方もいるでしょう。
そこで、この記事ではBPOの概要や業務範囲を詳しく解説します。メリットやリスク、導入の流れや注意点についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
======================================================
DXでお悩みのあなたへイースト株式会社による「DX30分無料ご相談」
ご予約は下記URLから
======================================================
BPOは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略です。企業活動における特定の業務プロセス全体を、外部の専門企業に長期的なパートナーシップを前提として委託することを指します。
「一部の作業を外部にお願いする」というレベルではなく、その業務の計画から実行、改善までを一貫して任せるのが特徴です。
BPOでの委託する内容は、ノンコア業務や専門的な業務が一般的です。導入目的は、コア業務への集中、コスト削減、業務効率化、外部の専門性の活用などが挙げられます。
なお、契約は2種類あります。成果物の提供が仕事の目的である請負契約と、業務の提供が仕事の目的である準委任契約があり、業務の内容によって契約形態は変わるため注意が必要です。
BPOの対象となる業務は、主に以下の業務です。
BPOの対象となるのは、主に企業の間接部門の業務です。コア業務ではないものの、企業の運営に不可欠な業務を委託します。ただし一部営業業務など、コア業務もBPOで委託可能です。
BPOとよく似た言葉に「アウトソーシング」があります。それぞれの違いを見てみましょう。
アウトソーシング | BPO | |
委託範囲 | ・単一業務や部分的な業務 | ・特定の業務プロセス全体 |
委託目的 | ・リソース不足の解消 | ・業務の効率化や品質向上
・経営改善 |
特徴 | ・一時的な依頼もある | ・継続的な依頼が多い |
アウトソーシングは、部分的な業務の依頼をすることを指します。たとえば「Aという資料作成だけを外部に依頼する」「経費精算のデータ入力作業だけを依頼する」といったケースです。
目的は、一時的なリソース不足の解消や、単純作業のコスト削減などが挙げられます。
BPOの場合、特定の業務プロセス全体を、その業務に関する専門知識とノウハウをもつ外部企業に委託し、業務の効率化や品質向上、さらには経営改善まで目指す、より戦略的な手法です。
単なる作業代行ではなく、その業務の企画、実行、改善までを一貫して任せます。
BPOは、どのような歴史を遂げ、進化してきたのでしょうか。ここからは、BPOの進化と現在のトレンドを解説します。
BPOは1980年代コスト削減を目的として、データ入力や給料計算などの単純な業務を外部委託したことから始まっています。
1990年代、インターネットなどITが発展したことにより、BPOの適用範囲を大きく広げました。国境を越えられるようになったため、英語を話せる人材の多いフィリピンやインドなど、遠隔地でも複雑な業務が委託できるようになったのです。
2000年代になるとBPO業界の競争が激化し、コスト重視から専門性の高い価値提供に目的が移行していきます。企業がBPOベンダーを単なる下請けではなく「戦略的パートナー」として求め、経営課題の解決策として活用する動きが加速しました。
そして現在は、VUCAと呼ばれる時代に突入しています。VUCAは、今後の予測ができない時期ということを指します。BPOであれば社内で育成せずに専門性の高い価値を提供してくれるため、現代には、非常にマッチしているといえるでしょう。
現在のBPOのトレンドとして、デジタル技術の活用があります。
RPA(Robotic Process Automation)やAI(人工知能)、OCR(光学文字認識)といった先進的なデジタル技術が登場しBPOサービスでも活用されています。特にカスタマーサポートなどは、AIを活用し自動化も実現できる業務です。
さらにRPAでは、データ入力や経費精算などの反復業務を効率化しています。日本では、企業だけでなく自治体などの行政でも広く活用されており、今後需要は伸びていくでしょう。
ここからは、BPOのメリットとリスクを解説します。メリットとリスクを理解して、よりイメージをつけていきましょう。
BPOを導入する代表的なメリットは、以下の4つです。
BPOで委託をすれば、人件費を固定費から変動費へ転換できます。社内で人材を確保する必要がなくなるため、IT機器やオフィスのスペースなどの設備投資も不要となりコスト削減につながるでしょう。
また、自社の強みとなるコア業務に集中できる点もポイントです。今までノンコア業務に割いていた時間をコア業務に充てられるため、より企業の本質的な活動に注力し、競争力を強化できるでしょう。
さらに、社内の限られた人材を、より付加価値の高い業務に配置することが可能です。急な退職や休職による業務停滞リスクも軽減できます。
業務に関する豊富な専門知識とノウハウをもつBPOパートナーに委託すれば、業務効率化と品質の向上も可能です。
BPOは多くのメリットがある一方で、リスクや注意点もあります。
最も懸念されるリスクの一つが情報漏えいです。BPOベンターはより高いセキュリティ対策をしていることがほとんどです。
ただし顧客情報、社員情報、企業機密など、重要な情報を外部に共有するため、情報漏えいや不正アクセスの危険性が高まります。万が一の事態が発生した場合、企業の信用失墜や損害賠償につながりかねません。
また、ノウハウやスキル、アイデアなどが社内に蓄積されない点も、注意点といえます。どのような業務が行われているのか確認できずブラックボックス化もしやすいため、より親密な関係を構築することが大切です。
前述したリスクを最小限に抑えるためには、どのような対策をとるべきでしょう。
まずBPOパートナーを選定する際に、高度な情報セキュリティ対策を行っているか確認することが大切です。情報管理の認証を受けているか、今までの実績はどうか、しっかりと比較検討しましょう。
また社内でも、情報の受け渡し方法、アクセス権限、従業員へのセキュリティ教育などを徹底し、万が一情報漏えいが起きたときの対策も検討が必要です。
ノウハウの蓄積ができない点は、定期的なコミュニケーションが不可欠です。BPOパートナーとの定期的な進捗報告会や定例会議を設け、業務の進捗状況、課題、懸念事項を密に共有します。また将来、内製化も可能になるよう、コンサルティングをしてくれるBPOベンターを選定するのもよいでしょう。
ここからは、BPOの活用事例を紹介します。
BPOは、あらゆる業界で活用されており、期待する効果は多岐にわたります。
たとえば、IT・通信業界では、システム運用・保守(サーバー監視、障害対応)、開発の一部(テスト、デバッグ)、データ入力、営業事務などで効果的に使われています。
IT技術は変化が早く、常に新しいサービスが生まれているため、より専門的な知識が必要です。専門性の高い外部リソースを活用することで、柔軟に対応できる体制を構築している企業が増えています。
そのほか、製造業の領域でも使われています。
人事・経理などのバックオフィス業務、調達・購買業務(発注、納期管理)、物流管理(在庫管理、輸配送手配)、文書管理などノンコア業務に重点的に委託可能です。間接業務を効率化し、人件費の安い地域への委託も活用することで、コスト競争力を強化できます。
BPOは、中小企業でも活用できます。ただし、普及率は低いのが現状です。
理由としては、業務の内容によって属人化が進んでいたりマニュアル整備がされていなかったりしており、業務内容の整理および洗い出しが進まない点が挙げられます。また「コスト増加による経営リスク」を考え躊躇することもあるでしょう。
一方で導入することで、業務効率が上がったり業務量の増加にも耐えられたりするといった側面もあります。
BPOパートナーによっては、業務内容の整理や設計を担ってくれる場合もあり、マニュアルの作成が不要なこともあります。
まずは、導入リスクが少ないものから徐々にBPOを活用していき、業務効率の強化をしていくのもよいでしょう。
中小企業向けのBPOサービスを提供しているベンダーや、自社の規模・予算に合った柔軟なプランがあるBPOベンターを探すことも大切です。
BPOの導入を検討する際、どのような点に注力すると良いのでしょうか。ここからは、BPOパートナーの選び方や導入の手順、契約時の注意点を解説します。
BPOパートナーの選定ポイントは、以下の5つです。
選定ポイント | 内容 |
実績と経験 | ・委託業務に関して豊富な実績と経験があるか
・具体的な事例を確認 |
セキュリティ体制 | ・ISMS認証やプライバシーマークなどの認証・取得があるか
・具体的にどのようなセキュリティ対策がされているか |
専門性とノウハウ | ・対応範囲の確認
・RPA、AIなどの活用がされているか |
コストと費用対効果 | ・コストが適正か、費用対効果があるかを確認
・複数の企業から見積もりを取ることも大切 |
コミュニケーション能力 | ・スムーズなコミュニケーションが取れるか
・トラブル発生時や緊急時における対応体制があるか |
委託業務の専門性やノウハウは、実績や事例を確認することで、ある程度把握できます。コストは、今後長期にわたって外部委託することで、費用対効果がどの程度見込めるか把握することが大切です。
導入時には費用が多く発生するものの、長い目でみて業務効率や改善、向上が見込めるかを確認するようにしましょう。
また、BPOも対人とのつながりです。長期的に協力的な関係でいるためには、依頼内容を汲み取りスムーズなコミュニケーションができることが大前提です。
自社の業務を代わりに担ってくれる重要なパートナーのため、ブラックボックス化しないよう、コミュニケーションが取れるパートナーを選ぶようにしましょう。
BPO導入にあたって、手順を確認しておきましょう。
まず、自社の業務プロセスを詳細に棚卸しして、現状の問題点や非効率な部分を洗い出します。この際BPOの対象となる業務範囲、導入の目的・KPIを明確にしましょう。
続いて、自社の現状、課題、BPOに求める要件、予算などを具体的に記載するRFP(提案依頼書)を作成します。細かく要件を記載しておくことで、目的などが的確に伝えられるため、詳細に記載することが大切です。
RFPの作成が終わったら、BPOパートナーを選定します。前述した選定基準をメインに、複数のBPOベンターを比較検討しましょう。
その後ヒアリング調査にて、お互いの意見交換をしたり要望を伝えたりします。具体的な内容を聞き、委託できるかどうか判定を行うためです。
委託をすると決めたら契約と併せて、マニュアルの作成や体制の構築をします。体制が整ったらトライアルに進み、問題がなければ本運用を開始するといった流れをとりましょう。
BPO契約は、企業にとって重要な取り決めです。
契約時に注意するべき点として、業務範囲と責任分界点が挙げられます。業務のどの部分をBPOパートナーが担うのか、具体的かつ明確にしておくことが大切です。
もちろんトラブルなどが発生する場合も考慮し、システム障害や人為的ミスなど、トラブルが発生した場合の報告義務、対応手順、責任の所在を明確にしておきましょう。
また、契約違反があった場合の違約金や賠償金についても、契約書へ記載することが大切です。万が一違反が起き損害がでた場合に、契約時に記載がなければ請求が難しい可能性があるためです。
なおBPOには、前述したとおり準委任契約と請負契約の2種類があります。契約内容によって法的責任が異なるため、業務内容に合わせた契約をしなければ後々トラブルになるため注意しましょう。
BPOは、コスト削減のための手段ではなく、企業の競争力を強化し、持続的な成長を実現するための重要な経営戦略へと進化しています。
BPO導入によってコア業務への集中やサービス向上、業務効率化などにつながるでしょう。
一方で、情報漏えいのリスクや業務のブラックボックス化など、リスクが存在することも忘れてはいけません。リスクを最小限に抑えるためには、事前の周到な準備と適切なパートナー選びをすることが大切です。
======================================================
DXでお悩みのあなたへイースト株式会社による「DX30分無料ご相談」
ご予約は下記URLから
======================================================